令和6年度 電子帳簿保存法



令和5年12月26日

公益財団法人神奈川県スポーツ協会

クラブアドバイザー

開発設計J OFFICE株式会社

代表取締役 長 門  旬 也

 

【電子帳簿保存法はいつから施行か?】

 

 電子帳簿保存法は、帳簿や決算関係書類、取引先とのやり取りに使用した請求書や領収書などの書類をデータで保存するための法律です。この法律は、202211日から施行されています。

 しかし、電子取引のデータ保存については、20231231日までの宥恕期間が設けられています。この期間中は、電子取引のデータをプリントアウトして保存していれば問題ありません。

 

 ただし、来年2024年 1月 1日以降は、完全に電子保存が義務化されます。

 

 

【非営利法人の電子帳簿保存法ガイド】

 

1.電子帳簿保存法とは?

 電子帳簿保存法は、税務関連の帳簿書類のデータ保存を可能とする法律です。経理のデジタル化を促進し、効率的なデータ管理を実現します。

2.改正電子帳簿保存法のポイント

 電子取引の改正:電子データで授受した請求書等を電子データのまま保存することが求められます。

 要件:電子帳簿保存法に対応するためには、検索機能の確保や改ざん防止措置を実施する必要があります。

3.電子帳簿保存法対応のステップ

 ・ファイル名の工夫: ファイル名に取引年月日、金額、取引先を含めて統一した形式で保存します。

 ・検索機能の確保: 取引情報を検索しやすい形で保存するために、適切な会計ソフトウェアを選択します。

 ・改ざん防止措置の実施: タイムスタンプ付与や訂正削除防止の対策を行います。

4.NPO法人の対応

 ・納税義務の有無:納税義務のあるNPO法人は電子帳簿保存法に準拠する必要があります。

 

 ・認定NPO法人:青色申告法人の規定に準じて帳簿書類を保存する必要があります。

 

 

法人税法上で非営利法人も電子保存するのか?】

 

 法人税法上の非営利法人は、収益事業(34業種事業)を行っている場合、電子帳簿保存法の対象となります。具体的には、法人税の納税義務があるNPO法人が該当します。このような法人は、電子データで授受した請求書等を電子データのまま保存することが求められます。

 一方で、法人税の納税義務を負わない事業者については、法令の対象外であり、電子データの保存方法は法人の任意の方法で構いません。

 

 認定NPO法人についても、法人税法上の帳簿書類の保存義務があるため、電子帳簿保存法に従って事務処理を行う必要があります。

 

 

【神奈川県法人事業税・県民税法上で非営利法人も電子保存するのか?】

 

 神奈川県においては非営利法人も法人税や事業税の対象となりますが、具体的な要件や税率は法人の実情により異なります。法人事業税は県内に事務所や事業所を設けて収益事業を行っている法人が対象ですが、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づく「認定NPO法人」(特定非営利活動法人ではない)は原則として電子保存が求められます。

 具体的には、電子取引で受け取った請求書や領収書などのデータを電子データのまま保存することが求められます。

紙媒体で保存することは認められていません

 

 

【神奈川県内市民税・事業税法上で非営利法人も電子保存するのか?

 

 電子帳簿保存法の対象となります

 

 改正された電子帳簿保存法は、すべての企業および個人事業主が対象であり、電子取引で授受した国税関連書類の電子データ保存が義務化されています。

 

【非営利法人の電子帳簿保存法のフローチャートは?】

 

  非営利法人が電子帳簿保存法に適切に対応するためのフローチャートの一般的なステップです。

 

1.法令の理解と確認

 ・電子帳簿保存法の要件を理解し、非営利法人が該当するかどうかを確認します。

 ・電子取引データの保存義務や期限についても確認します。

2.電子帳簿保存の準備

 ・電子帳簿保存に必要なシステムやソフトウェアを導入します。

 ・電子帳簿保存のための規程や手順を策定します。

3.データの整理と保存

 ・非営利法人の帳簿や決算関係書類をデータで保存します。

 ・取引に関連する書類(請求書、領収書など)の電子データも適切に保存します。

4.改ざん防止策の実施

 ・データの改ざんを防ぐための措置を講じます。

 ・タイムスタンプやアクセス制御を導入します。

5.経理のデジタル化

 ・電子帳簿保存法に対応するために、経理業務をデジタル化します。

 ・会計ソフトウェアを活用して効率的に記録を管理します。

6.専門家のアドバイスを仰ぐ

 ・非営利法人の場合、税務や法的なアドバイスを専門家に求めることをお勧めします。

 

 

電子帳簿保存法の対応は、非営利法人の適切な運営に欠かせないものです。

 

 

【非営利法人の簡易な電子保存方法は?】

 

 非営利法人において電子保存を簡易に行うための方法を以下に示します。ただし、具体的な要件や法的規定に従って適切な対応を行うことが重要です。

1.電子帳簿保存法に基づく対応

 電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律です。経理のデジタル化を図るために、以下のポイントに注意してください。

 ・電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規定をダウンロードし、責任者や会社名、施行日(令和411日)を入力して印刷・保存します。

 ・請求書などの取引書類をPDFなどの形式でサーバ等に保存します。バックアップを取り、税務調査時にスムーズに提出できるようにしましょう。

 ・電子取引データは、メールで送られた請求書や領収書、インターネットからダウンロードした資料などが該当します。

 

 ・最も簡単な保存方法は、電子取引に関する事務処理規定を作成・保管し、電子データをサーバや外付けHDDに保存することです。PC内のみは避けた方がよいでしょう。

 

 

【電子取引に関する事務処理規定の具体的な項目等は?】

 

 電子帳簿保存法における事務処理規程は、電子取引データの保存に関する具体的な項目を定めたものです。以下に、事務処理規程の記載項目と作成時のポイントを解説します。

 

<電子帳簿保存法の事務処理規程に関する基礎知識>

 ・目的: 事務処理規程は、電子取引データの改ざんを防ぐために設けるものです。保存された取引情報の真実性と可視性を確保するために必要です。

 ・真実性の確保: 電子帳簿保存法では、真実性(保存されたデータが改ざんされていないこと)を保証するための要件を満たす必要があります。

<事務処理規程の記載項目>

1.全体の運用に関するもの

 ・目的

 ・適用範囲

 ・管理責任者

2.電子取引データ保存に関する項目

 ・電子取引の範囲

 ・取引データの保存

 ・対象となるデータ

 ・運用体制

 ・訂正削除の原則禁止

 ・訂正削除を行う場合の手順

<事務処理規程を作成する際のポイント>

国税庁のテンプレートを利用して作成するのが一般的です。

・自社の事業規模やワークフローに合わせて内容を調整。

・電子取引データの保存範囲を具体的に示すことが重要。

 

 

 

【国税庁の事務処理規定テンプレートとは?】

 

 国税庁は、電子帳簿保存法に基づく事務処理規程のテンプレートを提供しています。これは、電子取引データの保存に関する具体的な項目を明確にするためのものです。以下は、国税庁の公式ウェブページから入手できるいくつかのサンプルです。

1.電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(法人の例)

 ・このテンプレートは、法人が電子取引データを適切に保存し、改ざんを防ぐための手続きを明確にするものです。

2.電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(個人事業者の例)

 ・個人事業者向けのテンプレートで、同様に電子取引データの真実性と可視性を確保するための手続きを示しています。

 

 これらのテンプレートは、法人や個人事業者が電子帳簿保存法に適切に対応するための参考となります。具体的な要件に合わせてカスタマイズすることをお勧めします。

(国税庁ダウンロードURL

 

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

 

 

【ファイルでなく、スキャンデータそのものの必要名称項目は?】

 

 電子帳簿保存法において、スキャンデータそのものの必要な名称項目は、以下の3つです。

1.取引年月日::取引が行われた日付を明確に記録します。

2.取引金額::取引の金額(通貨単位)を含めます。

3.取引先名::取引相手の名称や会社名を記載します。

 これらの項目をスキャンデータのファイル名やメタデータに含めることで、検索機能を向上させ、必要なデータを迅速に見つけることができます。

 例えば、スキャンした請求書のファイル名は「202311_NTTファイナンス株式会社_150,000_見積書.pdf」のように、取引年月日、取引先名、取引金額を統一した順序で記載することが望ましいです。